ひとりになった教室は、突然妙な静けさを取り戻すから嫌になる。
さっきまで、あたしと先生の笑い声で包まれていたのに。
天国から一気に地獄まで堕ちたような気分になってしまうのは、
先生が好きすぎる証拠だ。
「……今日もありがとうございました」
先生の後ろ姿を、見えなくなるまで見送った。
放課後に指導をしてもらうようになってから、すでに1ヶ月は経とうとしている。
先生、あたしは少しでもあなたに近づけましたか?
先生、あたしはあなたにとって、一番身近に感じる生徒ですか?
先生、あたしの気持ちには気付いてくれていますか?
心の中でいくら呼びかけたって、きっと届くことはない。