いつもの帰り道を、今日は最初から最後までずっとふたりで歩いた。

途中で閉店間際のスーパーに寄って、普段は買わない食品をいくつも買った。

その中にはどう調理するのかさえよく分からないようなものもあったけれど、冬眞には出来上がりまでがきちんと頭に浮かんでいるらしい。

決して高くはないものだったので、必要なものを好きに買わせてやることにした。



今日は冬眞も居るからと店長が早く帰してくれたけど、今の季節、日が落ちるのは早いから、いつもとそんなに違いはわからない。

すっかり冷え込んだ夜の空気、宇宙の色が透ける夜の空。



賑わう街の中心部を抜けて、丘の上へ続くなだらかな坂道。

切れかけた街灯が点滅して、その中を一瞬枯れた葉っぱが通った。


乾いた冬の風が吹く。

今夜は凍てつく寒さだとニュースで言っていたけれど、まさにその通り。

むしろもう寒いどころか痛すぎて、逆に頬は焼けるように熱い。



少し先を行く冬眞が、ふいに口笛を吹いた。

澄んだ冬の空気は音がよく響くから、軽やかな音色はどこまでも遠く飛んでいくようだった。


その音につられて顔を上げる。

晴れた黒い空にはいくつかの小さな光があって、3つ並んだ星が何かの目印みたいにそこに居た。


上を向いていた顔を前に戻すと、冬眞も、同じように空を見ていた。