「店長、あの、ちらっと遊びに来たかっただけみたいなんで、すぐに追い出しますから、すみません」
軽く頭を下げて、突っ立っている冬眞の胸を両手で押した。
早く出て行け、との思いを手のひらから、身長の割に存外薄い胸板に向かって精一杯滲ませ、ついでに、全力で睨む。けれど。
「いや。せっかく来たんだし、別に構わねえよ。ゆっくりしてけばいいんじゃねえの?」
とんでもないことを抜かす野郎が目の前だけじゃなく背後にも。
「いや店長、何言ってるんですか。ちゃんと帰らせますから、邪魔ですし」
「子どもじゃねえんだから仕事の邪魔することもねえだろ。な、冬眞」
「はい。隅っこで商品とか見させてもらってますし、言ってくれれば掃除でも手伝いますよ」
「ちょっと……何言ってんの、あんた」
「ほら、冬眞もそう言ってる」
なー、とまるで女の子みたいに首を傾げ合う姿は見ていて非常に気持ち悪かった。
だけどわたしの露骨に嫌そうな顔にも、きっと気付いてはいるけれど気にしない男ふたりは妙に気が合うようだ。
「いやーしかし、でかいのとは聞いてたが、ほんとにでかいな。俺と身長変わんねえくらいだろ」
「子どもの頃は、すごく小さかったんですけどね」
「俺もなんだよ! 18で一気に伸びたんだ。成長痛ほど幸せな痛みはねえよなあ」
なんてくだらないことを喋り出して。