「……なんで……」
声は限りなく小さな響きで、だけど確かにその耳に届く。
冬眞は小さくゆるりと笑って、わたしのことをじっと見ていた。
「なんで……冬眞は」
きっとわたしは今、あんたと正反対の顔をしている。
そう、こんな思いでいるときに、いつも誰かが側に居た。
ひとりじゃなかった。
だから泣けた。
そのうち笑えた。
そしたらきみも、一緒に笑った。
『コハル。いっぱい泣いていいよ。いっぱい泣いたら、同じだけ笑えばいいだけだ』
ねえ、ハルカ、なんできみは、わたしの傍に居た?
なんでわたしが泣きたいのがわかった?
なんで泣きそうなわたしに向かって、あんな風に、笑ってくれた?
『コハルが俺を呼ぶからだ』
なんて、そんなことを、きっときみは言うんだろうけど。
ねえ、どうしてかな。
どうして。
「……冬眞は、なんで、ここに居るの」