「そういえば、なんでわたしがここ通るってわかったの?」
コンビニに寄ったおかげで、今日は昨日と違う道を帰ってきた。
つまりだ、冬眞がわたしの来る道を知っているわけがないのに。
なんで、ここでわたしの帰りを待っていたのか。
「もしかして……奇跡?」
「なに言ってんの、瑚春」
「あ、わかった。迷子になってたまたまここにいたんでしょ。そんでたまたまわたしがここ通った」
「そんなわけねえだろ。それにそれこそ奇跡じゃねえか」
「まあそうだけど……でも、だってさあ」
「俺はちゃんと、瑚春を待つためにここに来たんだよ」
ぺきり、と冬眞の手元の缶が鳴る。
ちょっとだけへこんだそれは、だけど力が軽すぎたのか、すぐにぽこんと元に戻った。
「それならやっぱり、なんでわたしがここ通るってわかった?」
「わかるよ、瑚春のことならなんでも」
「やだそれ気持ち悪い」
「あ、ひどいこと言ったな。俺泣くぞ」
そんなこと言いながら、顔ではからからと笑って。
「わかるよ、瑚春が、どこにいたって、わかるよ」
ほんとになんでもわかってるみたいに、冬眞はもう一度、そう呟いた。