冬の星の空の下。
いつもはひとりの帰り道を、こうやって誰かと並んで歩くのは随分久しぶりのことだ。
だけど、そういえば。
今はひとりが当たり前になってしまったけれど、昔はふたりでいるのが当たり前だったっけ。
この街に来てから、誰かが隣に居てくれることが一度もなかったわけじゃない。
知り合いは少なからずいる、恋人だって何度か出来た。
何度も、誰かの隣を歩いて来て、けれど、やっぱりどこか違う気がして。
それはひとりでいることが当たり前だから、ふたりでいることに違和感を感じているだけだと、そう思っていたけれど。
でも本当はそうじゃなくて、ただ、隣にいるのが“きみ”じゃないから、だから、違ったんだと。
そんなことに、今、なんとなく、気付いたりして。
「……」
缶に口を付けながら、ちらりと横目で見上げてみれば。
同じように缶に口を付けて苦いであろうコーヒーを飲んでいる冬眞がいて。
わたしの視線に気付いたのかちらりとこっちを見るから、まるで連動している機械みたいに、今度はわたしが視線を逸らした。
だけどそのとき、ふと気付く。