指の腹で撫でると、でこぼことした部分がそこに当たる。

ペンダントトップとして加工はしてあるけれど、とてもアクセサリーとは思えないような歪んだ形をしていた。

チェーンの短いこの石を、着けたまま見ることは出来ないけれど、もう十年以上も身に着けているんだから、形なんて脳裏に焼き付いている。


元々は、ひとつの小さな原石だったそうだ。

はじめから形が歪だったそれをさらにふたつに割っているせいで、こんなおかしな形になっているわけだ。


今、わたしの首に下がっているこれは、その原石の半分。

もう半分は、これをくれた人が持っていた。



『半分こするんだ、ふたりでひとつ』



繋がりを示す証として。

どこに居たってわかるように。

いつだって一緒にいられるようにと。

わたしにこの石をくれた。


こんなものなくたって、離れることなんてあるわけないと思っていたけれど、そのときのわたしは、ただただ首に下げられたお揃いのそれに、喜びだけを感じていた。


ずっと一緒だった。

目印だった。

わたしたちの、大切な、繋がりの証だった。


その片割れが今はどこにあるか、わたしはもう、知らないけれど───