こんなもの、掘り起こした人間が後から付けたものじゃないか。
おまじないや、雑誌に付いた星占いと一緒、ただの気の持ちよう。
こんなただの綺麗なだけの石ころが、何かを叶えてくれるなんて、そんな、馬鹿げた話。
『これが結んでくれる。俺とコハルが、どんなときでも、きっと、離れ離れにならないように』
そう、そんな馬鹿げた話、どこにだってあるわけないんだ。
それはただの気休めで、お守りよりも不確かで。
決して、自分にとって大切な何かを、守ってくれるわけじゃないんだ。
「なあ、瑚春」
ふと気付けば、店長が表に戻ってきていた。
店内のBGMは、いつの間にかジャズからロックに変わっている。
店を閉めているわけではないのに、お客さんがいなくなると時々こうして店長は勝手に音楽を変える。
店の雰囲気はぶち壊しだ。
「なんかもうちょっとこれ、売り方ないかなあ。こう、意味とかだけじゃなくてさあ。あんまり知らない人にも見てもらえるような」
じゃらじゃらと、店長がピンク色の石をかき混ぜる。
「いいアイディアない? 俺こういうのあんま興味ないから浮かばなくて」
「わたしだってないですよ。ていうか、興味ないなら仕入れなかったらよかったのに」
「だって流行ってんだろ? 流行には乗らねえと」
「おじさんのくせに何言ってるんですか」
「お前な、おじさんだってな、精一杯今を生きてんだぞ」
なんだか語り出しそうな店長を放って、さっき貰ったファイルを開いてみる。
そしていくつかページを捲った先で、その項目に、目を止めた。