───それは数奇な巡りあわせだった。


運命でも偶然でもない。

わたしたちが呼び合って応えただけの、たったそれだけの、単純な、ただの、奇跡で。



なんてことのない日常のただのひとコマ。

お互いの長い人生の幕間のような時間。

きっとなんの意味もなく、そのうち忘れて消えてしまうようないつかの日々。


だけど、これが、ずっと先まで続いていく毎日を、支えてくれる、大切な日々。




きみはいつか、本当に、思い出になってしまうんだ。

今はまだ無理でも、いつか、自然にそうなってしまうんだ。


でもね、今は、それでもいいと思ってる。

だってそれは、失うこととは違うってこと、わたしもちゃんとわかったから。


きみはいつだって見守ってくれてる。


あの頃と変わらずにそこに居る。


わたしが見ようとしなかった場所、だけど確かに在った場所。


きみがそこに居てくれるなら、わたしはきみの思い出を抱えて、これから先、どこまで続いているかわからない道を、のんびりと、ゆっくりと、きみの分まで歩いていこう。