丘陵地の一番上。
長かった真っ直ぐな坂道の終わりの場所。
最後のブロックへ続く石畳の小道の上で、わたしも冬眞も、息を呑んだ。
一面に広がる、夢のような鮮やかな色。
隙間なく敷き詰められた、濃い赤や、オレンジや、紫や、黄色のビオラ。
囲むように広がる緑の木々と、澄んだ空の青に、その色はよく映えて。
風が微かに吹くたびに、波のように体を揺らす。
そしてその中央に、花に寄り添われるようにして建っている、深い色の石で造られたお墓。
ハルカの、お墓。
「……ご両親、ちょっとやりすぎじゃない?」
「だね。霊園の人、よく怒らないでいてくれてるよ」
「でも、好きだなあ、こういうの」
花畑の隙間に埋もれて小さな石畳がちょこちょこと敷かれていた。
わたしが先を、冬眞が後ろを歩きながら、その上を、ハルカのお墓に向かって進んでいく。
ビオラは、太陽に向かって精一杯花びらを広げていた。
こんなに小さいのに、懸命にできるかぎり大きく伸びて、頑張って、頑張って、それでいて見る人を嬉しい気持ちにさせてくれる。
わたしはそんなこの花が、かわいくて、でもすごく、かっこよく思えていたんだ。
わたしもそうなりたい。
出来る限り強くなりたい。
だけど頑張っているところなんて知られなくていい。
ただみんなが、きみが、笑ってくれれば、それでいい。
そんな人に、なりたかった。