───ぐぅ
と小さな呻き声のようなものが鳴ったのは、まさにその直後で。
部屋の中が驚く程静かだったから驚く程に響いたそれは、別に驚かないけど当たり前のようにわたしにも届いて。
枕にいそいそと顔を埋め始める黒い頭を、わたしは穴を開けるような心持ちでじっと見ていた。
「……ユーレイでも、おなか減るんだ?」
「そりゃもちろんだよ」
「お金掛からないならしばらく置いてやるのも有りかと思ってたけど、食費掛かるなら養えないなあ」
「そんなこと言うなって。きみなら出来るさ」
「あんたがわたしの何を知ってるわけ?」
溜め息を吐いて立ち上がる。
そう言えば、なんだかんだで自分もお昼から何も食べていなかった。
思い出したら急にお腹って減ってくるもんだ。
確か、カップラーメンがいくつか残っていたはず。
「そうだ、瑚春、こうしよう」
「……どうしよう?」
「ご飯作ってあげるから、しばらくここに置いて」
確実に割に合わない。