ねえハルカ。
わたしたちは確かに違う人間で、きみが死んでもわたしは死なないし、きみの時間が止まっても、わたしはどんどん速く過ぎてく時間の流れに乗せられていく。
だけど繋がってる。
どこまでもずっと、互いが見えなくなっても、いつまでも、わたしたちは繋がっているんだ。
見えないもので、深く、長く。
ガタン、と電車が大きく揺れる。
しわがれた声の車内アナウンスが、よく知った駅名を告げた。
目的地の駅。
駅員さんの姿が見えない、ホームも改札もふたつしかない、小さな小さな地元の駅。
ゆっくりと、電車が速度を落としていく。
古い車両はブレーキを掛けるたび、キィーと耳障りな高い金属音を鳴らす。
冬眞が荷物をまとめて立ち上がる。
わたしは、目の前に立つ冬眞の、胸に下がる赤い石を見上げる。
同じ形、でも少し違う形。
歪な、かわいくない、ペンダント。
「……わたしのと、それ、ほんとはふたつでひとつなんだよ」
「うん」
「対になってるの。ちゃんとね、重なるんだよ」
「うん」
「ハルカがくれたの。子どもの頃の誕生日に」
「そっか。大切なものだね」
「目印なんだよ。どこに居たって、見つけられるように」
「だから、見つけられた」
降りるよ、と伸ばされた手を掴んで。
わたしは立ち上がり、見慣れた、懐かしい場所へ、5年ぶりに戻っていった。