窓の外を向いている冬眞の細身の背中。
わたしは視線を移せないまま、静かにそれを見つめていた。
と、突然。
その背中が、素肌になった。
暗闇に浮かぶ白い肌がわたしの前に現れる。
何も纏っていない、隠すものの無い、冬眞の、体。
「え、」
驚くわたしを置いて、モッズコートと、その下に着ていた薄手のニットセーターがベッドの上に捨てられる。
「ちょ、ちょっと、なにしてんの……」
初めて見た冬眞の体は本当に細くて、体の軸になる部分がきちんと成長しないまま、背だけ一気に伸びてしまったように思えた。
だけどそれは、やっぱり男の人の体で。
骨ばった首筋も、背中のラインも、引き締まった腕も、決してわたしには無いもの。
「瑚春」
冬眞がこっちを向いて、わたしを呼んだ。
びくりと体が反応して、一歩後ずさりかけるけど。
わたしの視線も、動きも、そこで、止まる。
「……なに、それ」
雪の降る景色、遠くの街の灯り。
それに照らされて浮かぶ冬眞の胸には、わたしと同じ、ガーネットのペンダントが下がっていて。
その下に、胸の真ん中を縦に裂くように、大きな大きな、傷跡があった。