会いたいよ、ハルカ。
どんな姿でも、どんな形でもいいから、きみに会いたい。
わたしはひとりじゃ何もできない。
きみが居なきゃ前に進めない。
どこにだって行けはしない。
迎えに来て、わたしを見つけて。
名前を呼んで、手を引いて、いつもみたいに、笑ってみせて。
きみの隣がわたしの居場所で。
そこでしか、わたしは、生きては、いけないんだよ。
ねえ、ハルカ───
「瑚春!!」
目の前を、轟音と一緒にヘッドライトが通り過ぎた。
束の間遅れるようにやって来た風が、長い髪を左に流す。
「あぶねえな」
声がして振り返ると、わたしの腕を掴み立っている、誰かの姿が見えた。
「……冬、眞」
「なにしてんだよ、ぼうっとして」
「あんた……なんで、ここに居るの」
「あれ、俺の質問無視?」
首を傾げながらくしゃりと笑う姿は、昨日までのこいつと何ら変わっていない。
そう、でも、違うところをひとつ上げるとすれば、わたしを掴んでいるのと逆の手に、植木鉢を持っていることだろうか。
その鉢に咲く花は、色とりどりの、ビオラ。
「帰るぞ、瑚春」