10年以上も、一度だって、この首から外したことはなかった。

大事な宝物だった。

たとえこの首をもがれたとしても絶対に外さないでいようと自分に誓った。


きみがくれたもの。


大切なきみとの絆。


わたしときみの生まれた月の石。



ガーネット───




「……ハル、カ……」


震える手で、拾い上げた。

どこも欠けてはいない、輝きを失ってもいない。


だけど、わたしから、離れてしまった。


「……」


これを外さなければ、いつまでもきみと繋がっていられる気がした。

これが目印だったから、きみがそう言ったから。



『たとえ相手がどんなところに居たって、見つけられるように』



きっと、離れ離れにならないように。

ずっと一緒に居られるように。


だから、これさえあれば、いつかまた、きみが見つけてくれるような気がしていた。

ここに居たの、って笑いながら、わたしに手を差し伸べてくれるような気がしていた。


何も変わってなんかいないって、終わってなんかいないって。

わたしはひとりじゃないって、言ってくれているような、気が、していたんだ。



なのに。


もう、だめなのかな。


やっぱり、きみは、もう、居ないのかな。



わたしを見つけてはくれないのかな。




ねえ───