まだ年も明ける前からプレゼントに悩むのは初めてのことだった。


1月に控えたわたしと春霞の誕生日。


もちろん、毎年悩みに悩んだ末に用意した最高のものをあげてはいるんだけれど、今回はより一層趣向を凝らさなければならない。

なぜなら今回はいつも以上に特別な誕生日。


わたしと春霞が、20歳になる日。



もうすぐ子どもじゃなくなるなんて、そんな実感は毛ほどもない。

長かった10代があと数十日もすれば終わってしまうんだと考えると、感慨深いし切ないしもったいない気もするけれど、だからと言って20代になることが嫌なわけではもちろんない。

そもそも、実際に20歳になったとしても、きっとわたし自身に、何ひとつ変わりはないんだろう。

こんなナマケモノな性格も、泣き虫も、怒りっぽいのも。

もしかしたらしわしわのおばあちゃんになっても変わらなくて、いつまでも、春霞を困らせているのかもしれない。


だけど別に、それでいい。

春霞は、「よくないよ」って困ったみたいに笑うかもしれないけれど。

こんなのんびりとしたくだらない日々が続いて、ゆっくりと、変わらず、歩いていけるなら、それ以上のしあわせはない。


これまでの毎日のように、これからの毎日も、きみが隣に居さえすれば。




とりあえず、ずっと前に欲しそうにしてた時計を買ってあげることは決めている。

それ以外に、金額とかは関係なく、何か記念になりそうな特別なものを用意できないかともそもそ考え続けているんだけれど。


困ったことに、どうにもこうにも、思い浮かばない。


アイディアっていうのはタイミングが肝心らしいけど、ぽんと閃くのは所詮頭が回る奴らだけの話。

凡人は捻りに捻って捻り過ぎて、結局くだらない別のことを考え始めて終わるんだ。

だから別の手段を取らなければならない。

つまりわたしは軽く強行にでる。