高校を出てから、わたしは元彼でもある先輩のいる服飾系の大学に、春霞は宇宙科学を学べる大学にそれぞれ進学した。

通う学校が別れたのは初めてだったけれど、ふたりとも県内の学校で今までどおり実家から通っていたから、特に何かが変わったわけでもなかった。


大学生活は華々しく、とても楽しいものだった。

けれど、わたしは相変わらず男を見る目はなかったらしい。

新しくできた同じ学部の彼氏に3股を掛けられた挙句、怒りのあまり講義室でコブラツイストを食らわしたという出来事が、学部内で伝説として長く語り継がれたほどだ。


そんなわたしと違い、春霞は高校時代とは打って変わって、彼女を作ることよりも勉強の方に集中するようになっていた。

そういえば、小さい頃に近所のおばさんから貰った本の中では宇宙図鑑を一番熱心に読んでいたはずだ。

高校で天文学部に入ったのも同じ。

好きなこと、気になることをとことん調べ尽くしたくなるのは、わたしと同じ性質だった。


春霞が好きなことを見つけて、毎日を活き活き過ごしてるのを見るのはとても嬉しかった。


いつまでもそうやって、やりたいことをやって思うように生きて欲しい。

大丈夫、きっと春霞なら大物になる。

だってすごい奴だから、なんでもできちゃう奴だから。

いろんなことを研究して、いろんなことを発見して、そのうち世界中で有名な研究者になるはずだ。

それで大金持ちになって、わたしは養ってもらって、働かずに大きな家でぐうたら毎日を遊びほうけて暮らすんだ。

最高の未来じゃないか。

わたしは春霞を心の底から応援しよう。



そんな野望を抱きつつ、初々しい大学1年目を過ごし、2年目の、春、夏、秋がゆっくりとあっという間に過ぎて行った。