「……瑚春……コハル……!」


背中を包んだ腕は、そのままきつくわたしの体を抱き締めた。

骨が軋みそうなくらいに、痛く、強く、まるでひとつになろうとしてるみたいに締め付ける。



「……コハル……」



涙なんてやっぱり出ない。

泣くことを、許してくれない。



「……ハルカ」



わたしがわたしに泣くことを許さない。

だってそれはきみに全部返した涙。

もうわたしが流すことが出来ない涙。



「ハルカ」



ねえ、ほんとうに、ぜんぶ、返すから。

きみがわたしにくれたもの、ぜんぶぜんぶ、返すから。


だから、お願いだよ。




「ハルカぁ!!!」




帰ってきて、わたしの隣に。

ずっとずっと側に居て。

きみの隣に居させて。


もう一度、わたしの、名前を、呼んで。



ねえ───






「なんで、死んだの……ハルカ」