いつの間にか眠っていたらしい。


明るくなった部屋で目を覚ますと、いつも以上の気だるさが全身に感じられた。

泣いた後みたいに頭が重くて、眼球の奥がずくずく痛む。


それを振り払うように体を起こすと、丁度キッチンから出てきた冬眞と目が合った。


「おはよう、瑚春」


冬眞は、まるで新妻みたいにきちんと朝食を用意して、遅く起きるわたしに笑顔を向ける。


いつもと同じ、何も変わらない。

昨日の夜中になんて、何もなかったみたいに。



「早くおいで。スープが冷める」

「……ん」


のそりとベッドから降りるわたしに、やっぱり冬眞は何も言わなくて。

そう言えば昨日の夜も、こいつは何も訊かなかったなと、コーンスープを飲みながら思った。



なんとなく、顔は合わせ辛かった。

嫌なところを見せてしまった。


冬眞がどう思っていようと、もしくはどうも思っていなかろうと、わたしはあんなところ、こいつには見せたくなかった。


自分の弱いところ。

必死で押し隠しているところ。


絶対に誰にも、自分にすら、隠し通していたかったところ。



だけど昨日、それをこいつに見られた。

知られた。


何も知られていないけど、でも、知られてしまった。