あの日も、きみは居なくなったわたしをなぜだか見つけ出して、そうやって手を差し伸べてくれた。
困ったように笑って、すっかり大きくなった手のひらで、わたしのそれを包んで。
ねえハルカ。
きみは知らなかったと思うけど。
だからいつも、「帰ろ」って、わたしに言ってたんだと思うけど。
わたしの帰る場所は、いつだって、きみの居る場所だったんだよ。
きみが笑ってくれるのが嬉しかったから、わたしは何も言わなかったけど。
ほんとはいつだって、きみがわたしを見つけてくれるだけで、わたしはもう、自分の居るべき場所に帰っていた。
ここでしか、生きていけない場所って言うのが、誰にだってあるんだろう。
わたしにとってそれは。
きみの隣なんだよ。
ねえ、ハルカ。
きみの隣に、帰りたい。