「まあ、とにかく、瑚春も同じならちょうど良かったよな。それが俺からのプレゼント」


にこりと、可愛い子ぶって首を傾げる。

わたしはその姿をじとっと見て、それから手の中のピアスを見て、もう一度目の前の顔をじとっと見る。


「……あのさ」


ピアスはシンプルで綺麗だし、うちの店のものでも、タダで貰えるものはやっぱり嬉しい。

だけど、困ったことに。


「わたしピアスの穴、開いてないんだけど」



学生時代、開けたいと思ったことはあった。

だけど結局なんだかんだで、それは実現しなかった。


ピアスの穴を開けることになんの規制も後ろめたさも感じない歳になってもまだ、わたしの耳たぶは生まれたままの綺麗な姿だ。

つまりピアスは付けられない。


プレゼントは嬉しいけれど、使えないものを貰っても。



「あ、大丈夫。それは問題ない。俺は抜かりない男だ」

「は?」


わたしがこう言い出すことを予測していたのか、冬眞はなんだか嬉しげな顔をして。

怪訝を表情に丸出すわたしに、もうひとつ小さな袋を寄越した。

ピアスが入っていたものとは違い、知らない店の紙袋だ。


「それが、今日買いに行ったもうひとつのプレゼント」

「……開けて、いいの?」

「もちろん、どうぞ」

「……」


頬を緩めたままの冬眞に、絶対的な不信感を抱きながらも、わたしは恐る恐る袋を開けた。