わたしの住む丘を下りて、街の中心部に入ったところ。

わたしの通勤路でもある飲み屋街とは、少しずれた若者向けの街並みの一角に、このあたりで一番大きなショッピングモールがある。


ここに入る専門店は基本的に若い女性向けの店が中心だけれど、平日の真昼間というだけあって、お客さんは小さな子連れの主婦や年配の方が多かった。

きっとほとんど毎日来ているのであろうその人ごみの中に混ざると、なんとなく無意味な疎外感を覚える。

近所ではあっても滅多に来ないこの場所は、わたしには居慣れない場所で、どうにも居心地が悪かった。


その中を、どの店に入るでもなく冬眞とふたり、ふらふらと歩きながら回っていた。



ふと、きっとわたしたちはフリーターのカップルにでも見えているんだろうなと考える。

だけどみなさん、勘違いするな。

この男はフリーターなんて、そんなロクなもんじゃない。

ただの迷惑な居候です、ニートです、そしてヒモです、けなしてやってください。


と、叫びたい気持ちを必死で抑えていると、ふいに冬眞が立ち止まる。

そして振り返り、


「じゃあ、今からは別行動。3時にここに集合ね」


なんて言って、わたしの返事を聞く間もなく颯爽とその場を立ち去って行った。


その背中を見送りながら、今のうちに帰ってしまおうか、と考えて、だけどそう言えばトイレットペーパーがなくなりかけていたなと気付き、のろのろと日用品売り場に向かった。