春霞の指が、自分の首元をこつこつと指して、それからわたしに向けられる。
「このふたつはね、もともとはひとつの原石だったらしいんだ」
それをふたつに割ったものだと、春霞はわたしに教えてくれた。
なるほどためしに合わせてみたら、確かにぴたりとひとつに重なる。
「ほんとだ。ふたつじゃなくてひとつだ」
「そう。俺たちのこれはただの欠片。ひとつになるために割れた一部」
春霞の指が石を撫でるから、わたしも真似して胸元に手を置いた。
ごつごつとした感触は慣れなくて、首から下がる重さにも、まだ違和感を感じる。
「半分こするんだ。ふたりでひとつ」
石はやっぱりかわいくなくて、乙女なわたしの趣味には到底はまりそうにもない。
おまけに重たくて邪魔だし、そもそもわたしはアクセサリーになんてあんまり興味を持ってないんだ。
だけどそれが、春霞とお揃いだったのなら、話は別。
「これで、いつだって、一緒にいられるでしょう」
わたしはなんだって、きみと一緒ならうれしい。
どんなものだって、きみと一緒ならとくべつ。
だってわたしたちはふたりでひとつ。
ふたりで翅を分け合って、一緒に空を飛ぶために、側に寄り添って来たんでしょう。