小さいのに、案外ずしりと重たいそれ。
胸元まで届く長いチェーンの先には、やっぱりかわいくはない変な形の石がある。
「で、こっちは俺のね」
同じものが春霞の首に下がった。
歪な赤黒い石は、窓からの光で神秘的に輝いている。
「ね、コハル。覚えてる? この石」
問い掛けに首を傾げた。
その反応が予想通りだったようで、春霞はいつもみたいに、困ったように笑った。
「いつか本で見たよね。俺たちの誕生石」
「……誕生石……あ、あの、かわいくない、石」
「うん、そう。コハルは、ダイヤモンドの方がいいって言ってたけど」
そう、わたしたちの生まれた季節の石。
わたしたちが一緒に生まれた奇跡みたいな時に因んだ、春霞が教えてくれた、ひとつの石。
わたしたちにとって、とくべつな、もの。
「ガーネット」
声は重なって響いた。
春霞の胸元の石が、少しだけ弾んで揺れた。