箱の中には、いびつな形をした石の付いた、一対のペンダントが入っていた。
並んで箱に入れられたそれは、とてもじゃないけどかわいいとは言えない赤黒い色をしており、つまるところわたしの趣味とは程遠かったわけで。
「なんだこれ!」
間髪入れず叫んだのは言うまでもない。
「ペンダントだけど」
「見りゃわかるわ! かわいくない!」
「うん、そう言うと思った」
ちくしょう、わたしは春霞に似合うかっこいいものを必死こいて探したというのに。
お前は一体何を考えてこんなものをわたしに寄越したっていうんだ。
明らかに機嫌を悪くするわたしに、けれど春霞は楽しそうに笑っているから、なんだか余計に腹が立つ。
そう言うと思った、って。
そう言うと思ったんなら初めからかわいいものを買ってこい。
「形も変だし」
「理由はあるよ」
「2個もいらないし」
「ひとつは俺のだよ」
春霞が、わたしの手から箱をひょいと取り上げる。
い、今もらったところなのに……と唖然とするわたしを尻目に、春霞はペンダントをひとつ手に取って、わたしの前に屈んだ。
「俺からの、プレゼント」
春霞がそう言って笑うのと同時に、わたしの首に、赤いペンダントが下げられた。