それは、誕生石について書かれたページだった。
本の最後の方に、各月ごとに決められた石というのを写真付きで紹介していて、ほとんどおまけで付いたみたいなページだったんだけども。
春霞はなぜだかそこばっかり、そりゃもう本が形付いてしまうくらいに読み込んでいたのだ。
「ハルカ、なにそれ」
あまりにも熱心に見ているので、特に興味はなかったけど、何気なく訊いてみたことがある。
「誕生石だって」
「だからなにそれ」
「12ヶ月それぞれの月にちなんだ石のこと。自分の生まれた月の石を持ってると、しあわせを呼んでくれるらしいよ」
「うさんくさ」
「たしかにね」
春霞は眉を下げて笑いながら、そのページをわたしに見せてくれた。
わたしは、石ごときに変なパワーなんてあるわけねえだろと思っていた冷めたガキだったので、そんなもの見せられたところでやっぱりなんの興味も湧かなかったのだけど。
写真に写っていた宝石みたいないろんな石は、素直に綺麗と思えた。
春霞の小さな指が、その綺麗な石の中からあるひとつを指し示す。
「これが、俺たちの誕生石」
それは、ページの一番最初に紹介されていた。
まるで血のような、黒の混ざる赤い石。
ガーネット。