ますます困惑してしまう。


 
誰よりも一緒にいた時間が長かった奴だからこそ、親友の変貌っぷりには驚きを隠せない。

10日経ったとはいえ、いざとなると15年後の変化についていけない俺がいる。


だってスーツを着ているんだぜ?
俺と同じ学ランを着ていた男が、スーツにネクタイ、信じられないよな。
 

「ありがとうくらい言いなさいよね」


諌めてくる教師の言葉にも反応できず、ただただ口を閉じる。逃げたくなってきた。
 
 
「秋本、坂本は混乱しているんだよ。察してやれって」
 

また助け舟が出される。

今度は遠藤から出された舟で、俺はどうにかその舟に乗っかることができた。
 

見上げてくる秋本も「そうね、事を急ぎすぎたわ」と眉を下げ、俺に謝ってくる。

それだけ情けない面をしていたのだろう。


首を横に振り、小声で俺も謝罪した。

どうしても今の俺は自分のことで一杯いっぱいだ。


自分の身の異常といい、遠藤の姿といい、混乱に混乱してしまう。
 
 
嗚呼、やっぱり分からない、なんで俺は消えそうになったんだろう。

遠藤と再会したからか?
知り合いに巡り会っちまったからか?



まさか、そんな……、秋本の時はこんな現象なかったぞ。


分からない、2011年って未来は俺をどうしたいんだろう? それとも俺がどうにかしたいのか? なにも、わからない。