「マジねぇよ。坂本のせいで負けちまうんだからっ。
一週間、向こうにグランドの主導権渡しちまうし。お前、やる気ねぇなら最初から入るなっつーの」

「ご、ごめんって遠藤…、今日はちょっと不調で。なんか今度奢るからさ」


「いらねぇよ! 馬鹿、死ね、失せろ!」

 
ご立腹の遠藤を他の友達が宥めてはくれたけど、それにしてもあいつの機嫌は長い付き合いの中でも、いっちゃん悪いものだったと思う。

昼休みが終わって午後の授業中、帰りのSHR中、ずっと機嫌を低空飛行させていた。


なんとかして機嫌を上昇させたい俺は、隙を見て何度も謝ったんだけど、謝罪を繰り返すごとに油を注いだようだ。

怒り心頭の遠藤はついに感情を噴火、しつこいと謝る俺を一蹴。



「もう来んなっ、消えろ!」



かんなり熱のこもったお怒りのお言葉を頂戴した。
 
見かねた友達が後日、怒りがおさまってから謝った方がいいよっと言ってくれたから、俺はそれに従ったわけだけど。

でも居心地は悪かった。
遠藤が愚痴を零す間、いや誰かと会話をしている間、それは俺の悪口なんじゃないかと被害妄想が出てきて出てきて。


全部が俺の悪口を言っているように見えるほど、俺は遠藤を激怒させた。


嗚呼、なんでこんな凡ミスをしちまったのか、遠藤を怒らせちまったのか、不調なのにサッカーなんてしちまったのか…、自分が嫌になる。
 

午前中は和気藹々と話していた筈なのに、どうしてこんなことに…、自己嫌悪は止まらなかった。


もう二度と、遠藤とは仲良く出来ないんじゃないか…、そんな不安感にも駆られた。


できることなら時間をリセットしてしまいたい。


そう切に思う俺がいた。