だって試着室に備え付けられている鏡に俺が映っていなかったから。


だけど秋本に心配を掛けたくなかったから、この事実は伏せておくことにする。


これからは極力鏡に気を付けないといけないってことも学んだ。
 

服を買ってもらった後は、日用品売り場へ。

そこで歯ブラシやら共有できなさそう物を買ってもらって、夕飯の買い物を残し、一先ず予定の買い物は終了した。


「折角だし。キャップ帽、いかすの買ってあげるわ」
 

なーんて秋本が仰ってくれたから予定外の買い物開始、帽子を売っている雑貨屋に足を運んでメンズ用のキャップ帽を買ってもらった。
 
借りたキャップ帽よりも、なるべくつばの広いものを購入したのは勿論顔を隠すためだ。


何度も言うけど俺は失踪事件を起こしている。


顔が割られるだけでも不味いってのに、こんな身形だ。

15年前、失踪した少年がそのままの姿で街に戻って来たなんて、世界の仰天にニュースになったっておかしくない。
 

予定外の買い物は飲食にうつった。
 

店自体には入れないけど(だって店に入れば帽子を取らないといけないだろ?)、ちょっとした軽食なら買って備え付けのベンチ・スペースで食べられる。

秋本は俺に奢ってくれた。

その場でフルーツをジュースにしてくれるジュース店でイチゴジュースを、その後は回転饅頭を、シメはアイスときた。


食べ盛りだからなんてことのない量だったけど、秋本には悪いなぁっと思ったり。

だって全部あいつ持ちだから。