「買い物が終わったら、あんたがいたって神社にも行きましょう。
ほら、元気出す。しっかりご飯食べて。あ、そうだ。あんた、昨日お風呂に入ってないんだから、食べ終わったらシャワー浴びてきなさいよ」

 
テキパキきびきびと言ってくれるけど、お前が俺の立場になってみろって。

元気どころかへこむから。

畜生め、他人事だと思ってるだろ? 秋本。


軽く不貞腐れながら、皿の上のロールパンを取って半分に裂く。

と、俺はそこで問題点に気付いた。


「外に出ても大丈夫かな」


仮にも俺、失踪してるんだろ?
買い物なんて安易に行けないんじゃ。


「大丈夫。キャップ帽貸すわよ」


……、それが解決案?

いやそれ、かなり適当じゃね?

呆ける俺に、

「顔が隠れたらこっちのもんよ」

秋本は大真面目に答えた。
マジかよ、大丈夫なのかよそれ。


不安を感じつつ、俺は何気ない気持ちでテレビを観た。


丁度芸能人のニュースが流れているけど、その報道に俺は目を丸くした。

「え、マジで!」

思わず素っ頓狂な声を上げて、その報道を食い入るように見つめる。

だって俺の好きだったアイドルが離婚報道をしてるんだぜ? 

そりゃあ驚くっ、てか、結婚してたの? 嘘、マジで?!


「しかも老けてるっ!」


やっべ、あの美貌はどこ行っちまったんだよ。
確かに面影は俺の好きだったアイドルと重なるけど、でも、でもさ。


「はあ? しかもこれでバツ2?! 一回、結婚して離婚してたのかよ。マジかよ…、すっげぇショックだ。
あ、これって今、注目浴びてるアイドルの勝子ちゃんじゃん! うわぁ、やっぱ老けてる」


別の意味でショックな未来を見た気がする。

夢見る純情ボーイの夢を砕かれたっつーか。