自分を見失うこと、居場所が分からなくなること、“今”という時間に対して何をしているのか分からない。
成績や仕事に嫌味を言われてへこむこともあれば、退屈な毎日自分を見失うこと、友達との些細なやり取りで消えてしまいたくなることもある。
取り巻く環境の変化に“自分”ってなんだろうと途方に暮れてしまう。
誰にでもあることだと思います。
主人公の坂本健もそのひとりです。
特別暗い過去があるわけではない。
特別何かがあったわけでもない。
でも、取り巻く環境に悩んで苦しんで、ついには現実逃避。
家族、友達、恋、置かれた状況にすべて投げ出してしまいました。
彼は内心で「やってられるか畜生!」と思っていたに違いありません。
歌のキャッチフレーズになりそうな「有りの儘に生きる」って、何気に難しいことだと思います^^;
この作品はそんな特別ではない、だけど、なにか特別なことを書きたかったのです。
▽解決はしていない、でも、
坂本 健の起こした失踪事件によって、良い方向に物事が進むこともあれば、悪い方向に進むこともある。
家族問題は後者として挙げられるでしょう。
夫婦仲は改善されても、今度は親子仲で溝ができてしまった。
ギクシャクした空気はなんとも居心地が悪い。
それだけではなく学校でも、なんとなく居心地が悪くなってしまった。
保健室登校から教室登校になっても、今しばらくは居心地が悪い筈です。
彼には沢山の試練があります。
だけど敢えて解決せずに残したのは、彼自身がきっと乗り越えてくれるからと信じているからです。
気持ちが変わったのだから、きっと大丈夫。
落ち込んだのなら、自分が戻ったことで消えてしまった一つの未来を思い出せばいい。
きっとあの未来が自分の背中を励ましてくれる。
消えてしまった未来だけれど、消えていない未来のために彼は躓いても前に進んでくれる。
▽最後に…。
消えた未来は有り得た未来の一つ。
そして過ごしていた日々は嘘ではなく本物。
敢えて過ごしていた時間とリンクさせていたのは、あの時間は本物だったと訴えたかったからです。
何故ならあの時間が坂本 健を成長したそのものに違いないのです。
消えたけれど、消えない未来で“彼等”と再会できたのは奇跡ではなく、彼が過ごした時間の軌跡だった。
そうに違いないのです。
此処まで読んで下さり本当にありがとうございました^^*
支えて下さった皆様に最大の感謝を。
2011.12.02
梅雨之あめ
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