「坂本っ、坂本―――!」 失踪事件を起こしている親友の名を口にし、遠藤は駆けながらグシャグシャと顔を皺くちゃにした。 声さえ出ない秋本も涙ぐんで、遠藤と共に駆ける。駆ける。風と共に駆ける。 1996年某月某日の木曜。 約1ヶ月前に失踪した少年・坂本健は、地元の神社で発見される。 同級生達の通報によって彼は無事に保護されたのだった。 ⇒Epilogue