身震いしつつ、俺は久しぶりの学校を探索。


15年後の校舎は然程、変わっていないようだ。

何処となく余所余所しい雰囲気は肌で感じるものの、大した変化は見られない。

だからか酷く安堵した。
学校まで見知らぬ世界になっていたらどうしようかと思った。


これで不気味さがなかったら完璧(パーフェクト)なのにな。


べたんべたんと歩いている筈なのに、虚しくも鳴らない足音を気にしながら、俺は職員室に向かう。

秋本はいるだろうか。いてくれたらいいけど。


入れ違いなんて生じたら無駄な時間を過ごしたことになる。


それだけは避けたいところだ。
 

職員室前に辿り着いた俺は、彼女がいてくれますようにと祈り、音を立てないよう努めてドアを引く。


明るい室内の向こうに見えたのは数人の教師・生徒の姿。

仕事をしている光景や和気藹々と駄弁っている教師、生徒の姿その光景はとても懐かしい。

もうそろそろ俺が学校に行かなくなって1ヶ月経つしな。


懐かしさを覚えてもいい頃だろう。

気分的には夏休み明けの学校を訪れたってカンジだけど。
 

前のりになって秋本の姿を探す。

 
程なくして秋本は見つかった。他の教師と駄弁っているようで、笑声が聞こえてくる。

どうやら男の教師と話しているようで、若い男教師と談笑を繰り広げていた。


面白くないと思う一方、あいつが噂の高橋なんじゃないかと推理。


向こうから生徒が「高橋先生」と呼ぶ声で俺は確信を得た。


あいつが高橋か、秋本を狙っていると噂の。


単に食事に誘っただけかもしれないけど、男ってのは下心があっての男だから多分それなりの気持ちはある筈。ああ胸糞悪い。