鬱々とした気持ちを抱きながら、親友の住むマンションに着いた俺はビニール袋に包んだCDを郵便受けに投函。
そのまま踵返して帰路を歩こうとしたんだけど、丁度親友の姿を発見して声を掛けようと思った。
だけど、その行動は止まっちまう。
あいつは同級生の友達二人と和気藹々駄弁りながら帰っていた。
なんとく声を掛けづらい、咄嗟に曲がり角の塀陰に隠れる。
そんな俺の耳に飛び込んできたのは、親友の遊びの誘い。
「明日さ、三人で遊ぼう。俺の家でゲームしようぜ。坂本? 知るかよ。ぜってぇ呼ばねぇ」
相当怒ってるらしい。
いつもの俺だったら、「やっべぇ。謝り倒すしかねぇよな」で済むことだった。
けど、その時の俺は色んな事が重なって悲観気味。
自嘲を零して、こんなことを思ったんだ。
親友って思ってるの、俺だけなのかもなぁって。
大きな疎外感を抱いてしまった。
誰よりも仲が良い親友とたった一回の喧嘩で、たった一回の除け者行為で、俺の心はポッキリ折れかけた。
親、親友、片恋。
三つの心労がいっぺんに圧し掛かったからかもしれない。