でも、あたしの事は全く見てくれなくて、さっきの安心はすっかり吹っ飛んで不安があたしを支配する。
さっきの後悔がザワザワと胸の中を支配する。
話掛けたいけど、ソウちゃんの背中は『話掛けるな』って書いている様に見えるし・・・。
(振られるんだろうな・・・)
そう考えたら頭の中はそれでいっぱいになった。
久々に登場した「死神」がゲタゲタとあたしを笑っている感じ。
『お前のクセに何を望んでいるんだ』って言われている気分になる。
そうだよね、あたしのクセに「恋人」になりたいなんて贅沢すぎるんだ・・・。
「リミット」があるあたしに恋をする資格なんてないじゃん。
仮にソウちゃんが恋人になってくれても負担をかけるだけだしね。
「友達」として普通に話が出来るだけでも奇跡なんだから、もう充分だ。
(明るく何事もなかったように接しよう)
そう心に決めて声を掛けようとしたら、ソウちゃんがボソっと言った。
「手、貸して」
「え?」
手?手を貸すってどういう意味だろう?
そう思っていると、左手が机の下にあった。
ソウちゃんの大きな手・・・。
よくわからないけど、思い切って自分の左手をそっと重ねてみる。
ギュって手を握られてビックリした。
「正解してたから。ジェラードね、あれ正解」
後ろから見ても耳まで真っ赤になっているのがわかる。
「嬉しい!当った」素直に言ってしまったけど本当に嬉しかった。