視聴覚室に戻ると欠伸をしている明日香がいた。


「ちょっと!待ってたのに何で来なかったの?」


あたしが文句を言うと呆れた顔。


「行きました。10分前に行きましたが、誰かさんがいて楽しそうでデコピンされて浮かれているバカ女がいたので戻ってきました」


「げ!覗いてたの?あんた最低!エロ女!!」


「何がエロ女よ。自分の方がヘラヘラしてエロイのはお前じゃ、ボケ」


あたしが赤くなってるのを見てバカだなーって顔している。


「あんた、高柳と2人でここにいれば?中川にメールして教室戻ろうかな?」


「ちょっ・・・!!ごめん!明日香!!戻らないで!!」


襟を掴んで引き止める。

明日香がグエっと言って、手を離したあたしの頭を殴った。


「殺す気か!?いいじゃん。高柳も楽しそうに見えたし、付き合ったの?」


「・・・付き合ってません」


「じゃあ、ここに呼んで『付き合って』って言えば?噂も本当になるから問題ないでしょ」


「それがさ・・・明日香ちゃんにお願いがあるんです」


上目遣いで見つめると「キモイ」と毒を吐かれた。

さっきのサッカー雑誌を出して明日香に渡す。


「サッカー?ワールドカップ大図鑑?これが何?」


「この中にソウちゃんが好きな選手がいるんだけど、誰?」


「知らないわよ!聞いてないの?聞けばいじゃん」


「だから、それを探さないと夢が叶わないんだって!!」


あたしの必死な言葉にも「意味不明」とため息をついた。