内心と違い、あたしはニコニコ微笑んで会話をしている。


「何で手紙書いたの?」


「それは秘密。返事をくれたらいずれ教えるから」

(『好き』って伝えたかったなんで死んでも知られたくない!)


椅子をまたいで座ってすっかりあたしに向き直っている。


(モロこっち向いてるじゃん!)


「柏木・・・」言いかけた言葉に畳み掛けるように「ルウコ!」と言った。


「えーと、あの、ルウコ・・・は手紙読んで知ったけど、何でオレに興味があるワケ?」


かなり恥ずかしそうに言っている。


ルウコってソウちゃんの口からあたしの名前が出る。

あたしがチョコだったらドッロドロに溶けてしまいそう。


「ルウコって言った。ウフフ、嬉しい」


言ってから気付いた。

(今の言葉、素で言ったからヤバイー!キモイー!)


「あ、つい呼んでた。・・・まぁ、ルウコって呼ばないと無視されそうだからいいか」


ソウちゃんは全く気にしてない。

失礼だけど、明日香が言ってた通りに『バカでボーっとしてる』かも。


「手紙に書いてあったけど、オレがルウコに手紙書けって意味?」


「うん。そしたらあたしがまた下駄箱に返事を入れる。その繰り返しをしてほしいの」


「オレ手紙なんて書いた事ねーよ」とブツブツ言っている。


「何でもいいの!一行でもなんでも」


「作文みたいになるけどいいのか?」


作文だろうとメモ書きだろうと何だってあたしの宝物になるんだよ?