「柏木、あのさ」
バツの悪そうな困った顔で言葉を発した。
今度はあたしがカッチーンなる番で何も言えない。
喉がへばりついているみたいに声が出ない。
「柏木?」
今度は首を傾げている。
せっかく話かけてくれているのにあたしの脳内は大パニック中。
何か言わないと・・・、「何?」って言わないとダメ!!
でも出た言葉は自分でも想定外な言葉だった。
「・・・ルウコって呼ばなきゃ返事しない。手紙にそう書いたよね?」
ソウちゃんは自分から話掛けてきたのに目を真ん丸にした。
ソウちゃんから見えるあたしの表情って普通に見えるだろうけど、引きつって硬直してるだけ。だから無表情。
それに比べてソウちゃんは耳まで赤くなっている。
やっぱり・・・手紙読んだんだ。
しかも誰にも言ってないっぽい。
ソウちゃんは相当困った顔をしながら渋々と言った。
「か、じゃなくて『ルウコ』って呼ばないとダメ?」
「うん。あたしも『ソウちゃん』って呼ぶって書いた」
不思議なモンだ。
頭の中は大パニックのくせして出る言葉は妙に落ち着いていて、表情もたまに笑顔なんて出せちゃってる自分がいる。