明日香が何事もなかったかのように「おはよ!」と2人に声を掛けた。
「おはよん」と中川くんがいつもの笑顔で明日香に挨拶している。
ソウちゃんはあたしを見て硬直中。
そしてあたしも硬直中。
「高柳!おはよー!」
明日香がソウちゃんの肩をバンっと思い切り叩いた。
「あ、山下。おはよ」
やっと明日香に視線を移したけど、顔が引きつっている。
(ギャー!!!絶対手紙読んだんだ!!そしてキモイって思ってる!!!)
この場にあたしとソウちゃんしかいなかったら、あたしは絶叫して教室から出てるはず。
でもクラスに人は当たり前にわんさかいるワケで、逃げる事も出来ず・・・。
(普通、いつも通り普通にしてりゃいいのよ!仮面家族の柏木家の長女なんだからあたしは!!)
全然自分を奮い立たせるような言葉には聞こえないけど、「あたしの顔は鉄仮面です」と何度も言い聞かせて、視線を窓に向けて頬杖なんてついてみた。
ガタっと前の席の椅子が動き、ソウちゃんが席に座る。
いつも見るのが大好きな広い背中を直視する事が出来ない。
教室に入ったら即、机に突っ伏すソウちゃんが突っ伏さない。
あたしみたいに頬杖をついて、窓ではなく前を向いている。
全然、いつものソウちゃんじゃない!
あたし・・・。
あたしは・・・・。
(何て事したんじゃーーーい!!!死ね!あたし死ね!!)
心の中で自分を責めまくった。