教室に入るとソウちゃんの姿はなくて安心する。


「朝練だからいないに決まってるじゃん。そして来るのも決まってるし」


明日香はカバンを置いてソウちゃんの席に座る。


「高柳来るまでここにいてあげるから」


「明日香ってドSなのに優しい・・・」


「はぁ!?ドSは余計なお世話!!あんた挙動不審だと周りに変に思われるよ。ただでさえ毎日みんな、あんたの事観察してるんだから」


「え?知らないよ。そんなの」


「どこまで鈍いんだか・・・。ま、高柳以外に興味ないからしょうがないね。もうさ、開き直ったら?あんた性格「小悪魔」ってより「悪魔」だから開き直れるでしょ?」


「悪魔って・・・。言い過ぎじゃん!」


ドンと机を叩くと一斉にクラスの視線が刺さる。


みんな「どうしたの?」って顔であたしを見ている。


「な、何か?あたし何かしました?」


ニッコリ笑いながら言うと視線が一気に逸れる。


「ほら、悪魔だよ。ルウコは。何その微笑み、裏表ありすぎだって」


明日香が嫌味たっぷりに言う。


「だから、性格悪いのは認めるけど裏表とか悪魔とかは酷くない?」


「全然酷くありません。真実です。・・・あ、高柳来た!じゃあね」


ドアを見て明日香が席を立った。

あたしもドアの方をつられて見る。


中川くんの後ろをソウちゃんが続く。

バッチリと目が合ってしまった。

ソウちゃんもあたしを見て硬直している。