「郵便屋さんいないねー、郵便局お休みかな?」
「郵便屋さんはお休みじゃないよ?本堂に行けば会えるから行こうか」
郵便屋さんはお坊さんって説明した事があるけど、理解されずツナミにとっては結局は『天国の郵便屋さん』だ。
もう少し大きくなったら色んな事がわかる様になるお思うし、中学に上がったらルウコからの手紙を読ませようと思っている。
本堂の脇の社務所に顔を出すと何か紙を整理している『郵便屋さん』がいた。
「郵便屋さん!あたし、ツナミだよ」
『郵便屋さん』・・・住職がツナミの声でこっちを向いた。
「ツナミちゃん、いらっしゃい。・・・15日ですね、もう枯れ葉を集めてますからいつでもいいですよ。高柳さん、たまには上がったらどうですか?」
「でも・・・」ボクが躊躇うと笑顔で「どうぞ。お茶出しますね」と言う。
ツナミは「郵便屋さんのおウチ初めてだ、お寺なんだよね」と言いながら靴を脱いでいる。
本堂に入った事はルウコの法要であるけど、社務所は初めてだ。
「失礼します」
靴を脱いでぶっ飛んだツナミの靴も揃える。
「郵便屋さんのおウチって畳いっぱいだね、和風だ和風」
キョロキョロと興味津々でツナミが見ている。
小さな・・・っても実際はかなり大きな仏壇が壁一面を埋め尽くしている。
木魚を発見したツナミがキラキラした目奥でお茶の準備をしている住職に聞いていた。
「ねー、郵便屋さんこの骸骨ポクポクしてもいい?」
骸骨・・・見ればそう見えるが何て聞き方なんだよ。
「いいですよー、仏様にツナミちゃんが来た事を教えてあげながら叩いて下さいね」
少し笑った声で答えた。「骸骨」と表現したからだと思う。