ツナミが寝静まってから、寝室兼ボクの部屋のクローゼットから青い封筒と便箋を出す。
ルウコがストックしてくれていた大量にあった便箋ももうすぐなくなりそうだ。
「買ってこなきゃダメだな・・・」
リビングに戻って便箋とペンをテーブルの上に置いた。
先月は何を書いたかな?
さっぱり思い出せない。毎度毎度何を書いているのを忘れてしまう。
学生の頃から書いていた手紙も重要なもの以外は一切記憶にない。
読み返して調べたいけど、ルウコが持って行ってしまったからもう見る事も出来ない。
その前に自分の手紙を読み返したら恥ずかしくて捨てたくなるだろうけど。
ボクが書いた手紙の倍はあるルウコの手紙を読み返す事もまだ出来ない。
まだたった4年だ。生々しくて悲しくなるだけだから当分は読まないと思う。
「さて・・・何を書こうかな?」
書いた手紙は毎月寺の住職が『供養』という名目で燃やしてしまう。
ツナミにとっては『天国の郵便屋さん』。
住職がツナミに説明したのは、手紙が燃えた煙が天国のママに届いて、それをママが読むんだよという事。
なかなか粋な住職だなと思う。
これから先、ツナミはいつまでルウコに手紙を書くんだろう?
何度かツナミが寝ている時にこっそり手紙を読んだ事がある。
ボクの悪口を書いてあってムカついた事もあるけど、何より切なくなるのは、
『ママはいつツナミに会いにきてくれますか?』
だった。
ママには会えない。そう説明するにはツナミはまだ幼いと思う。