ポツリとツナミが呟いた。
「天気がいい青空みたいでキレイだった・・・」
「何が?」
「ママの最期、お別れの時。父ちゃんが泣きながらママに青い手紙をいっぱい入れてたの、覚えてるよ」
ルウコとの約束。
自分が死ぬ時はボクが書いた手紙を棺に全て入れてほしい。
告別式の出棺前にボクは大きな紙袋2つ分の自分の手紙を全て入れた。
周りは異様な光景として見ていたけど、約束は約束だ。
最後の入院の日、お互い泣きながら約束は守ると言ったから。
誰に変だと思われても黙々と手紙を入れ続けた。
花に囲まれていたルウコが一気に真っ青な手紙に囲まれて、ボクには少しルウコが微笑んだ気がした。
最後の一通を入れた後、ボクは堪えきれなくて一目を気にしないで大泣きした。
4歳だったツナミがそれを覚えているとは思わなかったから驚いた。
「今わかるんだ。あれは父ちゃんの手紙だったんだって。ママがいつも嬉しそうに読んでた手紙、青かった。あたし、『見せて』って何度も言った事あるよ?」
「ふーん・・・」それ以上は何も言えなくて黙っていた。
「ママ絶対見せてくれなかった。ねぇ、父ちゃん、何てお手紙に書いてたの?」
ツナミがようやくボクを見た。
その顔がルウコの様でドキッとした。
「内緒。ママだけが知ってればいい事だからな」
「・・・つまんないなー。父ちゃんはいっつもケチ!」
いつもの子供らしいツナミの表情に戻った。