読み終えてまた棚に片付けてボクの部屋を客間に変えた所にある仏壇の前に座った。
「いるのか?」
線香をつけて聞いてみる。
写真はツナミの入園式の時の弾けそうな笑顔。
その笑顔でボクを見つめている。
「いるなら何とか言えよ、バーカ」
ビールを一口飲んでもルウコは笑っている。
「ツナミ、また喧嘩したぞ?絶対ルウコの遺伝子だからな、オレじゃねーよ」
何か言ってほしい。
ルウコの声で『ソウちゃん』と呼んでほしかった。
「30になってクラス会あったぞ?ルウコの事でみんな驚いてた。そりゃそうだよな。・・・明日香んところのガキが4歳だってよ、ルウコが知ってるツナミと同じ歳。明日香はイケメンだって言ってたけど微妙だな。旦那に似たんだよ。後は幹太のところの双子は2歳。両方女だけどうるせーってほざいてた。ツナミが2人いるくらいだってさ、オレならブチ切れそうだけど・・・やっぱり誰でも子供ってのは可愛いから」
仏壇の横にはツナミの絵が並んでいる。
4歳からルウコの誕生日に必ず描いている『ママ』の絵。
8歳の現在の絵はお姫様みたいで目の中に星があってドレスを着ている。
「ツナミがルウコの事で泣いてた。アイツなりに傷ついてる。・・・オレも泣きたいよ。何でいねーんだよって毎日思ってるから・・・」
それでもルウコはやっぱり笑顔。
「笑ってないで何とか言ってくれよ。いい歳こいて言うのも変だけど・・・オレだってすっげー寂しい。ルウコがいないのが寂しいんだ・・・」
涙が出そうになるのをビールを無理矢理飲んで我慢した。
ルウコに会いたい・・・
4年経っても踏ん切れないボクは愚か者なのだろうか?