「お前さ、ツナミが来るって明日香に言っておけよ」
ビールを頼んで呆れると幹太は「忘れてた」とニコニコしている。
「父ちゃん!!」ボクを見つけてツナミが急いでボクに抱きついた。
それでも「可愛いー」って何が可愛いんだかわからない。
「ウザイ。お前どっか行ってろよ、何回も説明したよな?知らない人いっぱいいるけど大丈夫?って。それでも大丈夫って言ったのはお前なんだぞ?」
「でも、知らないお姉さんがいっぱいいる・・・。あ、幹太だ」
幹太を見てすぐにいつものツナミになる。
「ツナミ、デッカくなったな?今日可愛いじゃん」
幹太がツナミのほっぺたをつねりながら言った。
「痛い!父ちゃん、幹太がつねったー」
「愛情表現だよ。ツナミが大好きだから、幹太は」
ビールを飲みながら言うと誰かがボクに言った。
「やっぱり『お父さん』に見えない。ソウって変わんないよね。柏木さんもそうだったけど」
「お父さんだよ、これでも8歳のガキの父親です。ルウコはあんまり変わんないけどな」
ボクは未だにルウコを過去形で表現するのが苦手。
幹太のひざの上に乗って機嫌を直したツナミはメニューを見て何を食べるか考え中。
「ツナミちゃん?すっごい柏木さんに似てて驚いた」
男友達がツナミを見ながら言う。
「顔だけな。性格はどっちにも似てない。うるせーし、すぐキレるし。オリジナルだよ」
「ルウコに似てるわよ。口の悪さなんて同じじゃん」と明日香が芋焼酎を飲みながら言った。