長いソファにツナミと担任が、向かえ合わせで男子生徒と母親らしき人が座っている。


「遅れてすみません」


頭を下げると、「こちらこそお呼出しして・・・」と太った担任が汗を拭いている。


(こんな事で呼ぶなっつーの。気が弱いからナメられるんだよ)


心の中ではそう思っても「いえ・・・」と愛想笑いをしておく。


ツナミの隣に座るとボクをチラリと見て「父ちゃん、ごめん」と言った。


「父ちゃんだって!ダッセー!何だよその呼び方」


男子生徒がギャハハと笑い出した。


「だから、うっせーって言ってんだよ!また泣かすぞ!ボケ!!」


ツナミが道具袋をぶん投げそうになるのを押さえる。


「ちょっと、カズト!やめなさい!!・・・すみません、高柳さん本当にすみません」


母親がしきりに謝りながらも上から下までジロジロとボクを見た。


(どうせ親に見えないって言いたいんだろ?)


仕事からそのまま来たボクの姿は茶髪だしピアスだしジーンズにパーカー。

一方の母親は30台の後半位か?ロングスカートにブラウス。


カズトという少年はボクなら絶対着せないであろうダサイ服を着ている。

ツナミはこの間パーマをかけたいと大騒ぎしたからロングの髪をゆるくパーマをかけて、高い位置でポニーテールをしている。今朝、ボクがしてやった髪型。

ボク同様に黒いパーカーを着てジーンズのミニスカートにレギンス。


互いが『この親にしてこの子あり』って感じ。


「いえ、ウチのツナミが手を出したんで・・・こちらこそすみません。怪我は大丈夫ですか?」


カズトを見ると顔に思い切り平手打ちされた真っ赤な手形がついている。