「ソウ、小学校から電話だぞ」
親父の声が聞こえてカーラーを巻く手が止まる。
「小学校?」
お客さんに「失礼します」と笑顔を向けて店の電話の子機を受け取った。
「高柳ですが・・・」
ツナミの担任の教師が慌てた様に喋り出した。
ため息が出る。
「わかりました。すぐ伺います」
電話を切って親父に「後よろしく」と言ってハサミを入れたベルトを外す。
「そのまま帰るのか?」
親父に聞かれて「状況次第。連絡する」と言って裏口から出る。
車を走らせながら思わず呟く。
「全く、誰に似たんだか・・・」
小学校の駐車場に車を停めて、校舎に入るともう生徒はほとんどいない。
『相談室1』
プレートを確認してノックをする。
「すいません、高柳繋美の父親です」
「お入り下さい」
(この声は教頭か?)
そう思いながらドアを開けた。