ソウちゃんの提案で『お父さんも泊まるし、ママが元気になるまで幼稚園もお仕事もお休みして一緒にいる』と聞くとツナミは大はしゃぎした。
入院準備をしてくれたお母さんが戻ってきてツナミのハイテンションを見て驚いている。
あたしが倒れた時にショックで大泣きしてたのに歌なんか歌っているツナミを見て首を傾げた。
お母さんが買ってきたお弁当を食べさせている間、ソウちゃんとお母さんは病室を出ていた。
(明日から色んな人が来るのかな・・・)
みんなどうしていいかわからない顔になってしまうだろうから、あたしが笑っていようと思う。
最期くらい笑顔でバイバイって言いたい。
苦しい姿は絶対に見られたくない。
病気にたった13年で負けたあたしを見せたくない。
あたしからすぐ来るだろう『死』を受け入れてやろうと思う。
「ソウちゃん買い物に行ったから。とりあえず大型スーパーでパジャマとかツナミと下着買ってくるって。ツナミのものはお母さんが明日取ってくるから」
目を真っ赤にさせたお母さんが笑顔で言った。
「うん。ありがとう、ソウちゃんは自分で取りに行くと思うから」
あたしの手をギュっと握る。
「お母さん、ツナミがいるよ?」とやんわり言うと何度も頷いている。
「お父さんとルミ、呼ぶ?」その言葉に首を振る。
「今日だけは3人でいたい。明日からは3人ではいられないから」
「わかった・・・。ルウコ、一回だけ抱き締めてもいい?」
「あははは、いいけど。あたしもう大人だよ?」
それでもお母さんはあたしをしっかり抱き締めた。子供の時以来だ。
不思議そうにツナミがあたし達を見ていた。