「お父さんはサッカー部だったの。ママね、お父さんが大好きだった」
「サッカー?父ちゃんサッカーするの?」
「するよー、幹太くんもするよ。ママと明日香はしないけどね」
「幹太も?父ちゃんと一緒にサッカーしてたの?」
「そうだよ、格好良かったんだから。お父さん」
「幹太の方がカッコイイ!」
「えー、ママはお父さんの方がカッコイイもん」
「幹太もグーグー寝てた?明日香ちゃんは?ミサちゃんは?ルミちゃんは?瑠璃は?」
矢継ぎ早に質問される。
「幹太くんは、グーグーだね。明日香は違う。ミサちゃんはわかんない。ルミ?あれもグーグーだろうね。瑠璃ちゃんも多分、グーグー」
指を折りながら数えている。
「グーグーは父ちゃんと幹太とルミちゃんと瑠璃?ママは?」
「ママ?ママはグーグーじゃないよ」
「ねぇ、ツナミ。どうして瑠璃ちゃんだけ瑠璃なの?」
「ばあちゃんが『瑠璃!お手伝いしなさい!』って言うから」
キャッキャと笑っている。
「へー、でも『瑠璃ちゃん』って呼ばないとダメだよ?これからは瑠璃ちゃんだからね?約束して」
「ヤダー。瑠璃だもん!・・・あ、姉貴?姉貴でもいいんでしょ?」
「いや・・・それは絶対違う。それ、お父さんだけが呼んでいい名前」
「じゃあ瑠璃ー。今日瑠璃来るかな?綾乃さんいるからルミちゃんかな?」
「どうだろうねー、誰も来ないかもよ?」