「顧客データ忘れた。えーとUSBどこだっけ?」


慌てた感じでリビングを探している。


「父ちゃん、お仕事終わったの?プリン作る?」


ツナミがソウちゃんの足にしがみついている。


「ツナミ、ちょっとどけて。仕事中だよ、すぐ戻らないと・・・」


「えー、プリンは?食べようよぉ」


「うん、帰ってきたらね、食べるから。ルウコ、オレのUSB知らない?」


ソウちゃんの声が聞こえて


「USB?寝室じゃないの?」


と言いながらキッチンを出ようとした。


ドクン!!


心臓が跳ね上がる様な鼓動がする。


「え?ちょっ・・・、何これ・・・」


音が飛び出そうな程バクバクし始めた。


「ルウコ?」


そばにいるお母さんが聞いてくる。


「お母さん、ソウちゃんを・・・」


そこまで言ったらもう声を出せなくなってしゃがみ込んだ。


「ルウコ!?」


お母さんの声を聞きつけたのかソウちゃんが急いでキッチンに来た。


「ルウコ?どうした?」


ソウちゃんにしがみついて言葉を出そうと思ったけど、プツリと意識が途絶えた。